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主にダンゲロス、ジャンプの話題など

ダンゲロスSS2より赤鹿うるふ


赤鹿うるふ(あかしかうるふ)
http://www4.atwiki.jp/dangerousss2/pages/26.html

urufu.jpg

『現世への執着』
●現世にあるミチルの本体と再開する
●世界中を恐怖に陥れる

キャラクター設定
●赤鹿うるふ(あかしか うるふ)。希望崎学園1年生。無性。
●『負』のコミュ力を持ち、出会う人間全てに必ず嫌われる。コミュ力の制御はできない。コミュ力自体は魔人能力では無い。

●細身で小柄。黒い髪にショートカット。襟シャツに短パン。
男の子っぽいけど、実は女の子。でも性別は無性だから性器はないぞ!女の子が大好き。
●右頭部に髪に隠れた角がある。
●身体能力は人並み。頑丈さだけが取り柄で、死後さらに強化された結果、銃で頭を一発打たれると発狂。ニ発目で死亡。身体が上半身だけになっても虫のようにずるずると生き残る。痛みは普通に感じるが、ドMなので痛みつけられると喜ぶ。

●嘘つきで外道。人を苦しめるのが大好き。
●両親は離婚。父親は闇製薬会社を経営する雲類鷲 殻(うるわし かく)。旧姓は雲類鷲うるふ。自分を捨てた父を憎んでいる。母親は自分を引き取ってすぐ、うるふの負のコミュ力に耐え切れず死亡。親戚や孤児院を渡り歩いて成長した。

「持ち物」
【ミチルの小枝】
●本体はうるふの住む家に昔から植えられていたカエデの樹「ミチル」。うるふは世界で唯一、ミチルにだけは嫌われていない。頑丈な小枝で、決して折れることはない。




特殊能力『狼は鹿を強くする』
●敵の魔人能力を一点だけ強くする。

●能力発動中は黒い眼が赤くなる。自由に能力を発動、停止できる。
●強化される一点は、「相手の認識」に依存する。そのため、うるふが相手の能力を知っている必要はない。たいていは能力の強みがさらに強化される。
●相手の能力が何であっても、必ず何かしらの変化が起こる。

○対象を視認する必要は無いが、眼を開けていないと使えない。
○能力対象が自分に敵対心を持っていないと使えない。

【例1】性別転換能力→性別転換の効果範囲が拡大
【例2】高速移動能力→スピードが強化




プロローグSS
「恐怖だ。決して好かれる事のない人間の、それだけが武器だ」

 地獄の底で思い返す。



 駅前の交差点は人でごった返していた。
 その中で、人ごみに大きな穴をあけながらふらふらと歩く少女がいる。誰もその少女と目を合わせようとはしない。
『あの少年、まだついて来てる?』
「うん。犬みたいなやつだね。人気者は辛いよ」小柄な少女、赤鹿うるふは、右手に持つ唯一の相棒でありカエデの樹の小枝である『ミチル』に話しかける。「路地裏に行こうか。さっさと片しちゃおうね」
 赤鹿うるふはいきなり立ち止まると、来た道を引き返しはじめた。できるだけ他人に迷惑がかかるような動きで。
 案の定、赤鹿にぶつかる人もいた。心底いやそうな顔をして、すぐさま赤鹿から離れる。
 生き物のように赤鹿に追従していた人ごみの穴も、彼女の動きに合わせて方向を変える。
「まったく、人気者は辛いね」



 トレンチコートを着た少年は、できるだけ人の迷惑にならないような動きで人ごみをかきわけ、赤鹿から離れた。
 ビルの狭間に隠れ、誰も見ていない事を確認。
 壁に手をやり、ずぶりと手を入れた。そのまま、身体を建物の中へ侵入させる。



「君、カワイイね。一緒にお茶しよう。そのまま深夜バスで奈良まで行って、鹿に餌をあげよう。ついでに奈良の大仏を馬鹿にみたいに口を開けて見学してから、世界遺産の例のお寺を乗っ取ってそこで結婚式をあげよう。用が済んだら放火して奈良のキャッチコピーを大声で叫ぶんだ。『うましー!うるわしー!奈良ッッ!』。……どうかな、楽しいと思わない?」

 赤鹿に話しかけられたのは、赤鹿より3,4歳うえと思われる、眼鏡をかけたおとなしそうな女性だ。
「ひ、……ひいっ?」女性は小さく悲鳴をあげると、ペコリと頭を下げ逃げて行く。
 赤鹿はそれを残念そうに見送った。
「ああ、フラレてしまった」
『うるふ、どうして上手くいくと思ったの?』右手にある小枝・ミチルが話しかける。
「あの子、僕を見ても目を逸らさなかった。きっと僕のことが好きなんだよあははきっとかわいいなぁああかわいいシャイなところもかわいいなぁ」手にしたミチルをブンブンと振る。
『そうかなぁ?』ミチルが疑問の声をあげる。
「どうして違うって思うの?」赤鹿はミチルを見ながら歩き出した。きっと、妬いてるんだな。可愛いなぁ、ミチルは。などと思考をめぐらす。
『妬いてるわけじゃなくて、単純な疑問。それより少年の事はいいの?』
「そうだった」ショートカットの黒髪を揺らし、赤鹿は突然駆け出した。



 赤鹿は人がやっと通れそうなビルとビルの間を走り、ゴミ箱を蹴飛ばして薄暗い路地裏に入る。
 前方のコンクリートの地面が柔らかく盛り上がり、コートを脱ぎ捨てた半裸の少年が現れる。
「赤鹿うるふ。いい加減逃げまわるのはやめにしろ」
 少年は地面を軟化させ抉り取る。針状に加工したそれは、10秒ほどで元の固さに戻った。
「君みたいな輩、たくさんいるんだよね」走る赤鹿はさらに足を早め、頑丈な『ミチル』の小枝の尖った部分を少年向けて突き出す。
「む、向かってきた……?」対面する少年は裸足に力を込める。
 5秒ほどで、ぐにゃりと柔らかくなる地面。
 触れたものを軟化させる。彼の魔人能力だ。
 足のとられやすい地面。赤鹿は非力だ。捕まえることはたやすい。

 しかし、赤鹿はそのまま蛙の様に跳び、彼の足にタックルした。
「――はっ!?」驚く少年。
 足に触れた赤鹿の身体が軟化。
「やめろ!死ぬ気か!?」少年は能力を解除。
 赤鹿はその足に小枝を突き刺し、股ぐらをくぐり抜け、そのまま逃げる。
「くそッ 馬鹿にしやがって!」どうやら、傷つける気が無いのを悟られているらしい。

 とはいえ、複雑な人間の身体が少し軟化しただけでも、何らかのダメージを負うものだ。しかし彼女は平然と走りだした……。
聞いていた通り、彼女は非力だが、耐久力が高い。少年はそう感じた。



 少年が赤鹿に追いつくのに時間はかからなかった。
 彼が路地裏の角を曲がると、赤鹿うるふは見知らぬ女性の首に後ろから手を回し、硬い小枝を女性の首に突きつけていた。
「あは。 動いたら、この人を殺すよ」
『うるふ、その人、さっきナンパした人じゃない?』
「うん。この人が行く方向をあらかじめ狙って来たからね」
『さいあくだーっ!』

「最悪だな、てめぇ……!」少年が激昂する。
「暗殺者さんに言われたくないね。人殺し」
「お前を殺す気は無い」と少年。「俺が知りたいのは、アンタの親父の情報だ。雲類鷲殻。ウルワシ製薬のボス。アイツを憎む奴はいっぱいいる」少年は足を踏み出す。「その娘、『雲類鷲うるふ』。お前なら、親父が普段どこに隠れているのか、知っているんじゃあないのか」
「そんなァ、パパは殺さないで欲しいなァ」赤鹿の眼が赤く光る。
「……」少年は地面を軟化させようと力を込めるが、とりやめる。「お前の能力は、たしか……」
「賢いね。僕の魔人能力『狼は鹿を強くする』は、敵の魔人能力を一点だけ強くする。どこがどう強くなるかは、僕にもわからない」

 赤鹿は女性を捕らえたまま、廃ビルのむき出しの階段を登りはじめた。「よいしょ」
 てっぺんまで昇りつめる。
「わるいね」
 踊り場から女性を突き落とす。
「!」女性を抱きとめる少年。「……ちぃッ!」
 手にしていた針を投げつけるが、赤鹿の開いた廃ビルの扉に阻まれる。
 その隙に赤鹿は廃ビルに侵入した。
「駄目だ、危険でも、能力を使わないと……」少年はそう呟いた。



 階段をのぼり上がる。少年が追ってくる気配は無い。
 屋上の扉を開けた。
 赤鹿の眼は赤いまま。
 能力を使うのに、ずっと相手を視界に入れている必要はない。ただし、眼は赤く光らせている必要がある。
『うるふ、もう、好きな人をいじめちゃ駄目だよ』ミチルに叱られる。
「はぁい」
 屋上の端まで移動する。
 柵の代わりに建てられた壁は高いが、超えられない高さではない。

 そこへ、ぐにゃりとその壁を歪ませて、少年が姿を現した。
「うわ、びっくりした」
「ハァ……ハァ……」
 少年は、ビルの壁面を軟化させ、軟化していない部分につかまりながら、各階に顔を出し、赤鹿を探しながら登り上げて来たらしい。
「ガッツあるね」うるふが手をグーの形にする。
「うる……さいッ!」少年が憎しみのこもった口調で叫んだ。
「あはあはあはあは、あは。そうこなくっちゃ。善人ぶってるけど、だんだん僕のコミュ力に当てられてきたみたいだね」
「……ッ!」少年は地面に手をやる。軟化させた地面を針の形に加工すると、それは瞬時に元の固さに戻った。「傷つけたくはなかったが、少し脅す必要はあるかもなァ――」

 そう言い終わらないうちに、赤鹿が少年へ突進。
「――はっ!?」
 少年の針が赤鹿の脇腹を突き刺す。
 赤鹿が少年の心臓に向けた硬い小枝を、片方の腕で食い止める。
「おい、どう……いう……」赤鹿の眼を見る。

 赤い眼。

 瞬き一つせず、不気味な笑いを浮かべて、赤鹿は頭を俯かせる。
「パパについて知っていることを、教えてあげる」その頭部、左側、小さな膨らみがある。それは鹿というよりは、鬼の角や、狼の牙に似ていた。
「パパは、僕と同じ、絶対に、必ず人に嫌われる。『負のコミュ力』を持っている。そんなパパが、一つだけ、僕に教えてくれた。」
 頭の角を少年の左眼に近づける。

「嫌われ者が、人を従わせるには、『恐怖を与えるしかない』。それだけが、僕達に許されたコミュニケーションだから」

「こ――」少年は顔をひきつらせる。「こいつ……ッ!あの時……!俺の身体に触れた時、……柔らかくなった身体を――ッ!」
 まさか、頭蓋骨を加工して角にした?耐えられるわけが、しかし、彼女の特徴は、そうだ、地獄のような耐久力――――――――――ッ!!
「あはあはあはは」
「く……」
 押し出され、壁に押し当てられる。その壁がぐにゃりと歪み、崩壊した。
「馬鹿な――」

 何故、壁が軟化したままなのか?
 放っておけば、自動的に軟化は解除されるはず。
 やられた。これは彼女の能力による異常だ。

「あはあはあはははははははははははははははははははははははははははははッ!!!」
 赤鹿の角が少年の眼をえぐる。
「――――ッ!!」
無事な方の眼が、赤鹿の赤い眼と合う。

「そうだ、さあ、能力を使わないと、死ぬよ?」

 崩壊した壁を超え、二人の体重のかかった地面も崩壊する。
 真っ逆様に落ちて行く二人。

 能力を――つかうのか!?
 少年は躊躇する。赤鹿の能力で、自分の能力の何かが狂っている。それを、言われるまま使って、自分は助かるのか?こいつは、一体、何を考えている!?

「悪いけどパパを殺すのは、僕だ」
「ふ――ざけんなッ!」少年は捉えていた赤鹿の小枝を手離す。
 阻むものの無くなった小枝が、少年の胸を突きさす。非力ゆえ、心臓まで届かない。
「この程度……恐い、か、よッ!」自由になった両手で、空中で赤鹿を引き離す。
 胸と、潰された左眼から流れる血。握り締め、赤鹿の眼に撒きかけた。
「――っ!?」眼を閉じる赤鹿。
「瞬きをしない、赤い、眼! それが!お前の能力の鍵だ!」少年は受け身をとる。「嫌いだ!お前なんかぁぁぁ――ッ!!」

 二人の身体がコンクリートに激突した。



「ああ……」
 赤鹿がうめき声をあげる。
 赤鹿の能力を防いだ少年は、激突時、地面の軟化を試みたようだが、間に合わず、今は伸びている。だが、かろうじて死んではいないかもしれない。

「君は……、人を傷つけるのは好きじゃなさそうだった」赤鹿が少年に語りかける。
「君の能力の認識はおそらく、『触れたものを柔らかくして、元の固さに戻すこと』だ。
 軟化して、固めるまでが能力。僕が強化したのはそこだ。
 君は知らない間に、完全に『任意の持続時間』で物体の軟化ができるようになっていた」

 赤鹿はかろうじて動く手をひらひらとさせる。
「針を作り出すときは『瞬時に』元の固さに戻るように。
 壁の内部を潜り上がるときは、『できるだけ長い間』軟化するように無意識に意識した。
 それがあの結果だよ。まあ、僕も君の後ろの壁がトーフみたいに震えたままなのを見て、
 気がついたんだけどね。」
 語りかけるも、少年は動かない。
「少しでも僕を恐がった君の負けだ。ざまぁ無いね」

 赤鹿も、死にはしないが、身体が上手く動かない。
「地獄の耐久力もこの程度かー……」
『十分だと思うよ』ミチルがフォローする。
「ふふ……ああ、僕は死なない。生きて、世界中を恐怖に陥れるんだからねぇ」赤鹿が笑った。「お願い、ミチル」
『うん?』
「何があっても一人にしないで」
『うん』
「自分一人で立って、自分一人で生きるから。だからお願い。僕を一人にしないで。」
『わかったよ、うるふ』

「…………」
 路地裏の影から現れる。
 先程、赤鹿が人質にとった女性だ。
「ああ、君か。僕を見舞いに。 ……違うか」
 どうせ、少年が心配でやってきたのだろう。
 しかし意外にも、女性は赤鹿に近づいてきた。「お嬢様」
「へ?」
「命は取り留めたのですね。良かった」膝をつき、赤鹿に顔を近づける。
「ああ……うん……」まともに人に話しかけられるのに慣れていない赤鹿は、少し戸惑う。

「では、私の手で殺しましょう」女性は胸元から拳銃を取り出した。

「なんだ」赤鹿は口から血と共にため息を吐く。「ついに人に好かれたのかと思ったのに」
「お父様からの命令です」
「あ、そう、パパからね。僕がパパの命を狙っているから?」赤鹿は目を伏せた。「どうかしてるだろ、親として」
「ええ」拳銃を撃つ。







 拳銃で頭部を撃ち抜かれた赤鹿は、頭を無くした虫のように身体をぴくぴくと痙攣させながら、大事そうに、両手で小枝を握りしめていた。

「もしもし、聞こえてる?」ぺしぺし、と赤鹿の頭を叩く女性。

「アンタのことも、アンタのお父様のことも、私は大嫌いだよ」

「でもね、何より、恐いのは、お父様のほうなんだ。
 ごめんね。誰だって、より恐い方に従うものだから」

「地獄は恐いかな? アンタ、あの世に本当は地獄も天国もないって知ってるかい?
 魂は似たもの同士を引き寄せ合って、善人は善人。悪人は悪人だけの世界を作り上げる。  それが自然と『地獄』と呼ばれているにすぎないんだってさ」

「良かったね。だからきっと、地獄にはアンタの『仲間』がたくさんだ。でもね、
 あの少年も、最後はアンタに反抗した。恐怖と狂気、まだまだ足りないよ。アンタは」

 女性は念のため、もう一度赤鹿の頭を撃った。

「さ、地獄で本当の恐怖を学んできなよ、クズ」

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  1. 2012/06/03(日) 00:34:48|
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